自治会のスリム化はどうしたらいい?現役自治会長の妻が教えます
自治会は、めんどくさくて大変と思ったことはありませんか?
ご近所付き合いや、行事などで気を使う場面が多くあります。
私の主人は、市営団地の自治会長をしており私も書記として携わっています。
45軒と小さな自治会ですが、色々な考え方がおり、まとめるのが大変です。
市営団地に引っ越しをして6年ほどですが、入居してわずか1年で自治会長に就任しました。
その時の主人の年齢は30歳です。
自治会長といえば年配の方が引き受けるイメージがありますが、成り手がいないため渋々受けることになりました。
なぜ自治会をスリム化にしようと思ったのかと言うと、簡単にいえば住みにくい団地だったからです。
私の主人が自治会長になって分かったことは、昔ながらの自治会という内容でした。
除草作業は高齢だろうが、体調が悪かろうが、仕事だろうが不参加の場合は罰金。
組長はどんな理由があろうと絶対してもらう、罰金をもらいに行くのは組長など住民は不満だらけでした。
私の団地は、シングルマザーや一人で住んでいるご高齢の方がほとんどを占めています。夫婦そろっているところは、全体の3割ほどです。
昔の考えの人が多く、自治会をなかなかスリム化できずにいました。
初代自治会長も、住んでいらっしゃいますのでスリム化した後はクレームだらけでした。
私たちに自治会を任せたのなら、私たちの考えについて欲しいですが、納得がいかないようでした。
自治会のスリム化をどうやって変えてきたのかを、現役自治会長の妻が解説します。
自治会をスリム化する前
自治会をスリム化する前は、内容がひどいものでした。
除草作業に出席できなければ、どんな理由があろうとも罰金など主人が一番気になっていた制度です。
主人の考えとしては、仕事や体調が悪くて出てこれない人もいるのに、罰金はあまりにもひどいのではないかと、いつも気にしていました。
除草作業はどんな理由があっても全員参加
除草作業は年に2回行われていました。
仕事、体調不良、用事などがあっても全員参加で、もしどうしても参加できない場合は3,000円の罰金を支払わないといけません。
これには、住民の皆さん納得がいかず罰金を支払わない人もいました。
これでは真面目に支払っている人が損をするようになりますので、支払ってもらうまで何度も自宅に行っていました。
その役目は、組長です。
組長からすれば、罰金といえどもお金が関係するので、もらいに行きにくいと言われて最終的には自治会長である主人が行っていました。
主人が行っても必ずもらえるわけでもなく、罰金ばかりが貯まっていく住民もいました。
公民館掃除は当番制
公民館掃除は3ヶ月に1回あります。
私の団地は1組から4組まであり、1組あたり10人から12人程度です。
この公民館掃除は、当番制で組の中から2人ずつ出て掃除をします。
この掃除も出でこなければ、罰金3,000円です。
住民からの意見で、今回出れなかったら次の公民館掃除に出てはどうか?と出ました。
この意見を採用し、実施したのですが出れない人はいつまで経っても出ないという問題が発生したのです。
この問題を受け、やはり罰金を設けないといつまで経っても出ない人は出ないということになり罰金制度はなくなりませんでした。
組長は断れない
組長の仕事内容
- 自治会費の回収
- 回覧板を回す
- 月1回の役員会に出席する
- 除草作業などの出席確認
組長は組ごとの中で当番を決め1年交代でしています。
この組長もどんな理由があろうと引き受けないといけません。
団地の中には80歳を超えた高齢者や、足腰が悪い方、仕事が遅い方など色んな理由で組長が難しい方もいます。
そのような理由があっても、引き受けないと罰金です。
みんな仕事しているし忙しい中で、自治会費や役員会に出ているのにしないというのは平等でないと住民の意見がでていました。
子供会・老人会の行事
子供会は七夕会、クリスマス会、ゴミ拾い会など年に3回集まりがあり私も小さな子供がいますので、いつも参加していました。
小学校入学の子がいるご家庭には、4月に自治会から5,000円お祝いで渡していました。
老人会は行事といっても集まってするものはなく、65歳以上の方に果物や現金をひとりひとりに渡して終わりです。
この活動費は、住民みなさんからいただいている自治会費から出ています。
小さな子供がいるご家庭や、65歳以上の方はいいけれど、それ以外の住民からは払うばかりで何の得もないと意見がでるようになり、継続を考えていました。
自治会をスリム化した後
自治会のスリム化を決めたのは、住みにくい団地だったからです。
昔からの古い考えは辞め、住みやすい団地に変えていくのが私たちの目標でした。
住民の中には、せっかく若い自治会長なんだから若い考え方を取り込んで欲しいとも言われました。
スリム化後は、若い世代の人からは良くなったと言われ嬉しく思いますが、年配の方は納得がいかないようです。
まずは、みなさんが納めている自治会費を管理費として考え一年間の予算をたてました。
除草作業、公民館掃除は報酬制
今まで参加できない方は罰金でしたが、この制度を変えました。
除草作業と公民館掃除は希望制にし、参加していただいた方には報酬金を支払うようにしたのです。
今までは、除草作業と公民館掃除は別の日にしていましたが、スリム化後は一緒の日にし年3回するようになりました。
希望制なので、参加不参加は自由です。
参加した方には報酬金の支払いがありますが、予算が決まっているので除草作業に出てきた人数で割って報酬金額が決まります。
例えば、予算が50,000円で10人出てきたら一人5,000円です。
毎月支払っている自治会費の中から報酬金を支払うわけですから、不参加の方はお金を出して作業してもらっているという考え方です。
今までは不参加だと、家から出るのも出にくかったり、気まずい思いをしていましたが、この新しい制度でそんな思いはなくなりました。
ご年配の方からは、自分たちの団地なのにお金をもらうってどうなの?とクレームが出ましたが、これが若い考え方なんだと理解してもらいました。
子供会は希望制
子供会、老人会も希望制にして、自治会費とは別に集めるようになりました。
団地の子供の数は全部で30人ほどですが、子供会の行事に出てくる子は10人もいません。
なぜかというと、子供会の行事は日曜日に行いますが、習い事をしている子が多く日曜日は試合や塾などで参加できない子がほとんどだからです。
自治会費の中から子供会に予算を当てようとすると、子供会に予算使いすぎと言われたり、何か子供会で計画を立ててもクレームが出ることもありました。
自治会費とは別に、子供会費として集めればクレームを言われることもないし、自由にできるので活動がしやすいです。
老人会は今まで物をあげるだけで活動もなかったので、そのまま廃止となりました。
組長は70歳以上は希望制
今までは70歳以上でも組長の順番が回ってくれば、しないといけませんでしたがスリム化後は任意制にしました。
70歳といっても今は若くて現役バリバリの人も多くいらっしゃいます。
70歳以上の方が組長になった場合は、ご本人に意思をお任せします。
70歳以下の方でも、できない真っ当な理由があれば免除にしました。
真っ当な理由とは
- 親の介護
- 毎日仕事が遅い
- 入退院を繰り返している
などです。このような場合は証明書を出していただいています。
自宅庭の除草作業を格安で受ける
私の団地は、シングルマザーや一人暮らしのお年寄りが多く住んでいます。
団地の除草作業とは違い、自宅の庭は各自でキレイにしないといけません。
やはりシングルマザーや足腰の悪いお年寄り、持病をお持ちの方は自宅の庭でさえ作業が難しくなっています。
夏場になると草の生え方はすごく、何もしないでいると家の周りが草だらけになるほどです。
団地には私の主人を含め、5名ほど男の方がいるので草刈機を扱えますので、3,000円で草刈り、草集めまでしますということを決めました。
その3,000円は自治会費にいくのではなく、刈った人に渡します。
業者に頼めば3,000円でしてくれるところはないし、刈った人に3,000円の報酬が入るので、お互いに利益があり助かります。
以前は除草作業の日に、無料で自宅の庭を刈っていたのですが、中には汗水垂らしてご自分でしている方も多く、それは不公平ではないかとクレームが入ったこともありました。
このようなサポートがあるにも関わらず、利用しないで放置しゴミ屋敷のようになっている家もあり、困っていますが何度か声掛けなどしています。
自治会をスリム化してのメリット
自治会をスリム化してまだ1年くらいですが、以前よりは住みやすい団地になったと思います。
私たちが決めたことに賛成してくれる住民の方が多く、とても励みになっています。
どんなことがメリットになっているのか、お伝えします。
除草作業などの面倒な行事に出なくていい
これが一番のメリットではないでしょうか。
以前は全員強制参加でしたが、スリム化して自由参加になったので面倒なことはしなくてよくなりました。
作業で報酬がもらえる
今までは、除草作業などしても報酬をもらうことはできませんでしたが、スリム化にして参加していただいた方には報酬金がもらえるようになりました。
作業時間は参加人数にもよりますが、半日程度で済みます。
半日で何千円ももらえたら、いいバイトですよね。
報酬金を差し上げるといっても10人程度しか参加してくれません。
住民が喜んでくれる
スリム化して、ご高齢の方や身体の不自由な方、日曜日仕事の方は大変喜んでくれます。
現在の自治会長になって、住みやすくなったと言っていただいてます。
今までは何でも罰金だったので、廃止になり助かるという声も上がっています。
自治会をスリム化してのデメリット
45軒あったら色んな考えがあり、スリム化してよかったと思う方もいれば、こんなのでは自治会ではない、と言われる方もいます。
意見を言ってくれる方もいれば、私は関係ないと知らん顔の方もいます。
何か変化があるとデメリットはつきものです。
住民との交流がなくなった
全員でする除草作業や公民館掃除などは、希望制になりましたので住民との交流がなくなりました。
若い方は交流なんていらないと言われる方が多いですが、ご高齢の方は交流がなくなってどんな方が住んでいるかや、どこの子供かも分からなくて困る。という意見も出たのです。
新しく入居した方や、引越しした方も分からなくて寂しいと言われる方もいます。
そのような情報は回覧板でお知らせするようにしています。
決まった人しか作業しない
これは希望制にしたので、仕方ないことですが決まった方しか除草作業などに出てきません。
報酬金があっても10人程度しか出てこないので、それだけ出たくない方が多いのかと改めて感じました。
クレームが多くなった
スリム化にしてクレームが多くなったように思います。
除草作業では夏場は出てくる人が少ないです。
夏場に出ている人からすれば、気候がいい時にだけ出てきていいねと思うようになります。
自治会費を未納の方が、報酬をもらっているのに対してだったり、自分の自宅の庭はキレイにしていないのに除草作業に出るの?といった不満がでました。
やはりお金が関わってくると、日頃でないようなクレームが出やすくなります。
自治会のスリム化まとめ
最近の自治会は、若い方の加入が低下していたり、ご近所との交流など面倒くさいと思う方が多いようです。
昔の人から見れば、これが自治会というの?と不満に思うこともあるでしょう。
しかし時代に沿って、変化していかないと自治会自体が無くなってしまうこともあります。
このスリム化は、住民の方の多数決で決めました。
子供会、老人会、全員でする活動は全てなくなりましたが、これでいいと思う住民が半数以上いたのです。
寂しいような感じもしますが、これが現実です。
主人が一番気になっていた罰金制を無くしたことが、住みやすい団地になったと思います。
これからも変えていけるものは変えて、より良い団地にしていきたいです。
自治会をスリム化したいけれど、なかなかできないとお困りの自治会長さんの参考になればと思います。